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コラム楽器のひみつ

チューバとコントラバスは何が違うのか|吹奏楽で同じ低音を支える2つ

チューバとコントラバスは何が違うのか|吹奏楽で同じ低音を支える2つ

テューバ(チューバ)とコントラバスは、どちらも合奏のいちばん下で低音を支える楽器です。吹奏楽ではどちらも低音を受け持ち、楽譜によっては同じパートを弾くこともあります。

それでも、音の出どころはまったく違います。違いの核心は、唇の振動で管の中の空気を鳴らすか、弦の振動を木の胴で響かせるかという、音を作る仕組みにあります。

テューバとコントラバスの違い:まず1分だけ

テューバは、唇を震わせて鳴らす大型の金管楽器です。幅の広い円錐の管を持ち、バルブで管の長さを切り替えて音を変えます。吹奏楽で主流のB♭管は、巻いた管をのばすと約5.5mになります。

コントラバスは、オーケストラの弦楽器の中でいちばん大きく、いちばん低い楽器です。4本の弦を弓でこするか、指ではじいて鳴らします。全長はおよそ170〜200cmあり、弦楽器では珍しく、弦どうしを4度の間隔で調弦します。

並べて見ると、楽譜の読み方から違います

比べる点

テューバ

コントラバス

音の出どころ

唇の振動

弦の振動(弓または指)

音の高さの変え方

バルブで管の長さを切り替える

左手で弦を押さえる位置を変える

記譜と実音

書いた音のとおりに鳴る

書いた音より1オクターブ低く鳴る

オーケストラでの人数

ふつう1人

数人が同じ低音を弾く

吹奏楽での扱い

主要な低音楽器

加わる場合と、無くても演奏できる場合がある

注目したいのは記譜の行です。コントラバスは、楽譜を1オクターブ高く書いて読みやすくしている楽器で、鳴る音は書いた音の1オクターブ下です。テューバは書いたとおりの高さで鳴ります。コントラバスの調弦と最低音は、コントラバスの音域を書いた記事で表にしています。

違いが生まれる理由:息で鳴らすか、弦で鳴らすか

テューバの音は、唇がマウスピースの中で震え、その振動が管の中の空気を揺らして生まれます。音を出し続けるには息を送り続ける必要があり、長い音や長いフレーズの途中には、どこかで息を吸う場所が要ります。

コントラバスの音は、弦の振動が駒を揺らし、駒が胴の表板を揺らして生まれます。弓を使えば、弓を返しながら音を続けられます。指ではじけば、弓で弾くのとは別の、はじいたあと減っていく音になります。クラシックでは主に弓を、ポピュラー音楽では指ではじく奏法を多く使います。

同じ低音でも、テューバは“息の長さ”で、コントラバスは“弓の長さ”で音の続き方が決まる楽器だと言えます。

二つの低音が並ぶまで:19世紀に生まれた金管の低音

コントラバスの祖先は、テューバよりずっと古くから合奏の低音にいました。テューバは、19世紀に金管の低音を担う楽器として生まれています。

年

場所

できごと

古典派の時代

ヨーロッパ

オーケストラのコントラバスは、チェロのパートを1オクターブ下で重ねることが多かった

1835年

プロイセン

ヴィープレヒトとモーリッツが、バス・テューバの特許を取る

1860年代以降

フランス

オフィクレイドに代わり、サクソルンのバスが使われるようになる

19世紀末

イギリス

オフィクレイドが少しずつ姿を消していく

テューバの家系は、セルパンやオフィクレイドといった古い低音の管楽器から続いています。コントラバスは、ヴィオール属の大型の低音楽器ヴィオローネの子孫とされ、なで肩の形や4度の調弦にその名残があります。系譜の細部は、いまも研究者の間で議論が続いており、日本語版ウィキペディアは、いまのコントラバスをヴァイオリン属とヴィオラ・ダ・ガンバ属の中間に位置する楽器としています。

テューバのほうは、生まれてからオーケストラの低音の金管として広まりました。イタリアのオーケストラでは、低音を受け持っていたトロンボーンがテューバに置き換わったと書かれています。

吹奏楽で二つが並ぶとき

吹奏楽では、テューバが低音の主役で、2〜4本ほどが並ぶのがふつうです。日本語版ウィキペディアの「吹奏楽」の項は、コントラバスについて、多くの楽譜にパートがあるものの、このパートを欠いても演奏できるように書かれていることが多く、テューバと同じパートを弾くこともある、と説明しています。英語版の「コンサートバンド」の項も、コントラバスのパートは主に上級の曲や大きな編成で書かれる、としています。

同じ項は、高校の一部と、大学やプロの楽団の多くにはコントラバス奏者がいる、とも書いています。楽団によってコントラバスがいたりいなかったりするのは、このためです。

一段深く:同じ楽譜を弾くと、1オクターブずれる

テューバ奏者の側から見ると、二つが“同じパートを弾く”ときに起きていることは、少し面白い現象です。テューバは書いた音のとおりに、コントラバスは書いた音の1オクターブ下で鳴ります。同じ音符を読めば、コントラバスはテューバの1オクターブ下を支えることになります(ここは記譜の決まりからの私の整理です)。

この重ね方には先例があります。古典派のオーケストラでは、コントラバスがチェロのパートを1オクターブ下で重ねることが多く、日本語版ウィキペディアも、チェロと同じ楽譜を使えば低音に1オクターブの重なりが得られると書いています。吹奏楽でテューバの楽譜を読むコントラバスは、この古い重ね方を、金管の低音に対して行っていることになります。

オーケストラで低音の最下部を比べると、どちらがより低い音を出せるかの話になりがちです。その比較は最低音を4つの楽器で比べた記事に任せ、ここでは“同じ高さの楽譜から、どの高さが鳴るか”に目を向けてみました。

よくある質問

Q. オーケストラのテューバは、ふつう何人ですか

A. オーケストラのテューバは、金管セクションの低音を受け持つ楽器で、ふつう1人で配置されます。大きな編成の近代の曲では、2人を求める場合もあります。役割の詳しいところはテューバの音域と役割を書いた記事にまとめています。

Q. コントラバスはなぜ書いた音より低く鳴るのですか

A. 低い音をそのまま書くと、五線の下に加線がいくつも並んで読みにくくなるためです。1オクターブ高く書くことで、ヘ音記号の五線の中に収まりやすくしています。

まとめ

テューバとコントラバスは、どちらも合奏の土台を受け持つ低音楽器です。違うのは、唇と息で管を鳴らすか、弦を弓や指で鳴らすかで、楽譜の読み方も、オーケストラでの人数も変わります。次に吹奏楽を聴くときは、テューバの列の脇にコントラバスがいるかどうかを確かめてみてください。

この記事を書いた人

小林悠真(こばやし・ゆうま)/一般社団法人LFコンサート 代表理事/テューバ奏者。広島県三次市出身。九州大学で音響設計と音楽マネジメントを学び、デザイン思考を軸に持つ。演奏する側の実感と“音の仕組み”の両面から、「誰もが音楽にたどり着ける道筋」のリデザインに取り組む。

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