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提示部・展開部・再現部を、調の移動と帰還から読むソナタ形式は、交響曲、ソナタ、弦楽四重奏曲などの第1楽章によく使われる設計図です。提示部で第1主題と、それと対になる第2主題を示し、展開部でその素材を組み替えて揺さぶり、再現部で二つの主題を最初の調(短調の曲ではその同主長調のこともあります)に戻して締めくくります。前に序奏、後ろにコーダ(結尾部)が付く曲もあります。
この形の働きは、調の移動と帰還で聴き手を導くことにあります。ベートーヴェンの交響曲第5番の第1楽章では、ハ短調で始まった曲が提示部で第2主題を変ホ長調に移し、再現部ではハ長調で戻ってきます。モーツァルトの交響曲第40番では、提示部で変ロ長調だった第2主題が、再現部ではト短調のまま現れます。出発点に帰ってきた安心感は、この計算から生まれます。
よくある誤解
「ソナタ」と「ソナタ形式」は別のものです。ソナタは器楽曲のジャンル名で、ソナタ形式はその中の一つの楽章に使われる設計図の名前です。ソナタ形式は交響曲や協奏曲、弦楽四重奏曲の第1楽章にも使われますし、ソナタと名の付く曲のすべてがこの形で書かれているわけでもありません。
別名・表記ゆれ: ソナタ・アレグロ形式
関連する用語
交響曲
オーケストラ全体が主役の、複数の楽章からなる大規模な曲です。多くは4つの楽章で組み立てられます。
楽章
大きな作品を構成するひとまとまりの区切りです。速さと性格を変えて並べ、時間を設計します。
弦楽四重奏
第1・第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの4人で奏でる室内楽の代表的な編成です。
古典派
おおよそ1750〜1820年の音楽様式です。均整のとれた形式が好まれ、ソナタ形式が確立しました。
長調
主音から3番目の音が長3度上にある音階で作る調です。一般に明るく聞こえるとされ、短調と対をなします。
短調
主音から3番目の音が短3度上にある音階で作る調です。翳りのある響きとされ、長調と対をなします。